リスティング広告の費用は、月額20〜30万円程度の媒体予算で始めるケースがあります。ただし、必要な金額は商材や競合状況、目標とする問い合わせ件数によって変わります。予算を決めるときは、媒体費に制作費・運用支援費を加え、成約後の採算まで確認することが大切です。

たとえば月に20件の問い合わせを目指す場合でも、クリック単価や問い合わせ率によって必要な媒体費は変わります。また、問い合わせを獲得できても、その後の成約が少なければ支出を回収できません。本記事では、費用の内訳、予算の計算、外注費を含む総額、配信後の見直しを順に解説します。

リスティング広告にかかる月額費用と内訳

月額は配信だけでなく制作と支援の支出も含む

リスティング広告は、検索した言葉に関連して検索結果に表示される広告です。ここでは検索連動型広告の費用を扱います。月額予算を考える際は、広告の配信に使う媒体費と、配信を準備・改善するための費用を分けましょう。

月額20〜30万円程度からの開始は、予算を考える出発点になります。業種や狙う検索語句、必要な獲得件数によっては、より少額で範囲を絞ることも、予算を大きく取ることもあります。まず自社が無理なく継続できる支出枠を決め、その中で目標件数に届く条件を検討します。

費用の内訳と発生時期

費目対象と発生時期
媒体費広告のクリックなど、配信に対して発生する費用。配信期間ごとに管理する。
初期設定・制作費配信設計、初期設定、広告文や遷移先ページの制作など。開始時と追加制作時に計上する。
運用支援費配信の調整、分析、報告などを外部へ依頼する費用。継続費と単発の支援費を分ける。

初月は、媒体費と継続する支援費に、初期設定やページ制作の費用が重なることがあります。翌月以降も同じ額が必要とは限りません。一方、継続月にもページの改修や広告文の追加を行うなら、その費用を見込む必要があります。月額の見積もりだけを見るより、初月と継続月を分ける方が資金計画を立てやすくなります。

自社に適した遷移先ページがすでにあれば、既存ページの活用から検討できます。新しいページを作るかどうかは、商品説明、問い合わせへの導線、スマートフォンでの読みやすさを確認して判断しましょう。広告を始めるという理由だけで、制作物を増やす必要はありません。

少額で始めるときは検証する範囲を決める

少額の予算では、媒体や対象商品を広げすぎると、個々の判断に使えるクリックや問い合わせの記録が少なくなります。たとえば複数の商品を同時に試す前に、優先して売りたい商品と対応地域を絞る方法があります。結果を見て次の配信範囲を決めると、予算の使い道を説明しやすくなります。

開始できる金額と、目標を判断するために必要な金額は分けて考えます。最低出稿額や依頼の受付条件は、利用する媒体や契約先の公式条件で確認しましょう。少額で開始できる場合も、クリックがどれほど集まり、どの疑問を検証できるかまで考えておくことが大切です。

クリック課金と単価が変わる仕組み

Google広告のCPC制の概念。設定する上限クリック単価と実際のクリック単価を区別する。

クリック課金では、広告がクリックされると媒体費が発生します。表示回数に対して支払う方式とは費用の数え方が異なり、クリック課金の媒体費は「平均クリック単価×クリック数」で計算できます。平均クリック単価をCPCと呼び、配信に使った媒体費をクリック数で割ると求められます。

たとえば平均CPCが200円で1,000回クリックされた場合、媒体費は20万円です。同じ20万円でも、平均CPCが400円なら計算上のクリック数は500回になります。必要なアクセス数から予算を考えるときは、クリック単価を固定の料金表として扱わず、想定と実績を分けて記録しましょう。

上限クリック単価と実際のクリック単価を分ける

Google広告のCPC制には、クリック1回に支払える上限を指定する上限クリック単価と、最終的に請求される実際のクリック単価があります。設定した上限額が、毎回そのまま請求されるわけではありません。実際のクリック単価は上限額を下回ることがあります。単価の調整や入札方法によって扱いが変わるため、設定内容と合わせて理解することが必要です。

検索広告の掲載にはオークションの仕組みがあり、狙う検索語句や競合状況などで単価は変わります。特定の語句ならいつでも同じ金額で集客できる、と決めつけず、配信前の想定に対して実際の平均CPCがどう動いたかを見ていきます。

Google広告の上限CPCの説明を、すべての自動入札や別媒体の共通ルールとして使うことはできません。入札方法を選ぶ際には、対象のキャンペーンに適用される上限や課金条件を確認してください。Google広告の基本的な用語はGoogle広告ヘルプのクリック単価の説明でも確認できます。

安いクリックを集めるだけでは採算は決まらない

クリック単価が低くても、求める顧客と検索意図が合わなければ問い合わせは増えません。反対に、クリック単価が高くても、問い合わせや成約につながる割合によっては採算が合う場合があります。単価の高低を評価するときは、クリック後の行動までつなげて確認しましょう。

たとえばサービスを依頼したい人と、関連する仕事へ応募したい人では、同じ分野の言葉で検索していても目的が違います。費用を検討する担当者は、安く訪問者を集められたかに加えて、商談につながる相手へ届いたかを判断する必要があります。

目標と採算から配信予算を計算する

問い合わせ数だけでなく成約後の採算も確認する

予算を計算する前に、広告の成果を何で数えるかを決めます。問い合わせ、資料請求、購入などの目標行動をコンバージョン、略してCVと呼びます。問い合わせをCVにする場合は、購入や契約とは別の段階として管理します。複数の行動を合算すると、1件の価値が異なる数字を同じ条件で比べてしまいます。

目標件数と獲得単価から媒体予算を求める

CPAはCVを1件獲得するための費用です。媒体費だけを使う場合、媒体CPAは「媒体費÷CV数」で計算します。目標の媒体CPAが決まっていれば、媒体予算=目標CPA×目標CV数で予算案を出せます。たとえば問い合わせの目標CPAを1万円、目標件数を20件と置く場合、媒体予算案は20万円です。

クリックからCVに至る割合であるCVRを使っても計算できます。「必要クリック数=目標CV数÷CVR」「媒体予算=平均CPC×必要クリック数」という順番です。問い合わせ率を2%、平均CPCを200円と仮定すると、20件÷0.02=1,000回、200円×1,000回=20万円になります。

これは目標と仮定をつないだ計算です。配信後は実際のCPCとCVRを入れて予算案を見直します。たとえばCVRが1%なら、同じ20件に必要なクリック数は2,000回、CPC200円の場合の媒体費は40万円になります。予算枠が20万円なら、獲得目標、問い合わせ率を改善する施策、対象範囲のどこを調整するか検討しましょう。

許容CPAは成約後に残る金額から考える

問い合わせ段階では売上がまだ確定していません。問い合わせから何割が成約するかと、成約1件でどれだけの金額が残るかを使って、獲得に使える費用を考えます。ここでいう広告・支援費控除前の限界利益は、売上から商品原価や提供に伴って増える費用を差し引いた金額です。

たとえば、成約1件あたりの広告・支援費控除前の限界利益を5万円、問い合わせからの成約率を25%と置くと、問い合わせ1件あたりに対応する限界利益は1万2,500円です。この中から制作費や支援費、確保したい利益を差し引き、媒体CPAの目標を決めます。限界利益のすべてを媒体費へ回すと、ほかの支出を賄う余地がなくなります。

成約率による採算の違い

たとえば同じ対象期間に、媒体費20万円で問い合わせ20件を得て、支援費4万円、制作費1万円がかかる場合を考えます。金額は税抜でそろえ、成約1件の広告・支援費控除前の限界利益を5万円とします。問い合わせからの成約率が変わると、次のように差が出ます。

項目成約率25%の場合成約率10%の場合
問い合わせ数20件20件
媒体費/媒体CPA20万円/1万円20万円/1万円
支援費+制作費4万円+1万円4万円+1万円
総支出25万円25万円
成約件数5件2件
広告・支援費控除前の限界利益合計25万円10万円
総支出を差し引いた金額0円マイナス15万円

どちらも媒体CPAは1万円ですが、成約率10%の場合は、成約から得られる限界利益が総支出を15万円下回ります。25%の場合も差引額は0円なので、利益を確保したいなら、支出を見直すか、成約率や1件あたりの限界利益を高める必要があります。問い合わせ単価と成約後の採算をセットで見ることで、次に変える条件が分かります。

この差引額は、表で対象とした支出を引いた金額です。会社全体の人件費や固定費なども踏まえて事業の利益を判断します。継続購入を見込む場合も、売上額だけで回収を計算せず、継続に伴う費用と実際の継続状況をそろえましょう。

法人向けサービスでは、問い合わせ月と成約月がずれることがあります。同じ月の問い合わせ数と成約数をそのまま割るより、対象期間に獲得した問い合わせが、その後どう成約したかを追う方が実態を捉えやすくなります。未成約と商談継続中も分け、結果が確定するまでの期間を予算計画へ織り込んでください。

月額予算と日予算を区別する

月額の管理と日々の消化は区別する

会社として管理する月額総予算と、広告媒体へ設定する日予算は役割が違います。月額総予算には制作費や支援費も含め、媒体に設定する予算は配信に使う金額として管理します。たとえば総支出25万円のうち媒体費が20万円なら、日予算へ割り振る対象は媒体費の20万円です。

また、日予算を設定しても、毎日同じ額だけ使われるとは限りません。検索の機会などに応じて日ごとの消化額が変わるため、単日の増減と月全体の支出見込みを分けて確認します。

Google広告の平均日予算と費用上限

Google広告では、1日の平均予算を設定するキャンペーンのほとんどで、1日の費用上限は平均予算の2倍、1か月の費用上限は30.4倍です。たとえば平均日予算を5,000円に設定し、月を通して変更しない通常の場合、1日の費用上限は1万円、月の費用上限は15万2,000円となります。

平均日予算は、毎日の固定請求額を意味しません。「コンバージョンに対するお支払い」のキャンペーンタイプには日単位の費用上限がないなど、例外もあります。Google広告のルールは費用の上限に関する公式ヘルプで対象条件と合わせて確認できます。

月の途中で予算を変えたり、新しく配信を始めたりした場合は、月の上限の計算にも影響します。単純に「月額予算÷30」を固定の日額上限と見なすと、想定と実際の動きが合わなくなります。変更前に使った費用と残り期間を確認し、月末の着地見込みを更新しましょう。

Google広告では、まれに配信費用が費用上限を超えても、実際の請求額には調整が入る場合があります。配信費用と請求額の違いを理解し、資金管理には請求の条件も照合することが必要です。Yahoo!広告などを併用する場合は、各媒体の予算・請求ルールを別々に確認します。

日ごとの増減に合わせて頻繁に設定を変える前に、月額総予算から制作・支援費を引いた媒体枠と、各キャンペーンの消化を見比べましょう。予算変更の日付と理由を残すと、後で獲得単価が変わった原因を整理しやすくなります。

制作・運用支援を含む総額を見積もる

依頼範囲が違えば総支出も変わる

自社運用と外注の違いは、支援費の有無だけではありません。自社で行うなら、設定、制作、日々の確認、分析、改善に使う時間を確保します。外注するなら、依頼する作業と社内に残す判断を明確にし、それぞれの費用を予算へ組み込みます。

たとえば外部が配信を調整しても、商品の提供条件の確認や、問い合わせ後の営業対応は社内で連携する必要があります。担当者の確認待ちが続くと改善を進めにくくなるため、支援費と合わせて社内の対応時間も見積もりましょう。

見積もりでそろえる費目

費目・作業そろえて確認する内容
初期設計・設定開始時に行う設計や設定の範囲、初回だけ発生する費用。
広告文・遷移先の制作制作する内容と本数、修正回数、既存ページを利用する範囲。
継続運用日々の確認や調整の範囲、支援費の算出方法と最低手数料。
分析・報告集計対象、報告する内容、結果を踏まえて改善を決める担当。
追加制作・修正追加料金が発生する作業、単位、発注前に確認する手続き。

支援費が媒体費に一定率を掛ける料率型なら、どの金額に率を掛けるかを確認します。定額型なら、その金額で含まれる作業と対応範囲を確認します。最低手数料がある場合は、単に媒体費へ料率を掛けた金額と請求額が一致しないこともあります。

たとえば媒体費20万円、支援費を媒体費の20%、同じ期間の制作費を1万円と置く場合、支援費は4万円、総支出は25万円です。制作費が初回だけなら、追加制作がない継続月は媒体費と支援費の24万円になります。初期設定費が別に発生する契約では、その費用を初月へ加えます。実際の契約では税区分もそろえて比較しましょう。

手数料率だけでなく、含まれる作業と総支出で判断します。最低発注額、契約期間、中途解約、税、追加料金などの条件は、継続できる支出かどうかに関わります。たとえば月額が予算内でも、必要なページ修正が別料金なら、修正を含めた総額で計画する必要があります。

社内で判断と改善を進められるなら、自社運用を続ける方法があります。制作や運用、分析に割ける時間が足りない場合は、足りない作業を外部へ依頼する方法を検討できます。媒体費の多寡だけで決めず、必要な作業を継続できる体制かを確かめましょう。

費用計算で見えた課題を支援の検討につなげる

相談する際は、使える総予算と媒体費の枠、目指す問い合わせ件数、成約までに把握できている数字を伝えると、依頼する作業を具体化しやすくなります。「配信は社内でできるが分析に時間が足りない」「遷移先の説明も含めて見直したい」など、費用計算で見えた課題を整理してください。

トミラへの支援相談を検討する場合は、以下で案内するサービス内容と、自社に必要な作業を照らし合わせてください。サービス案内や資料請求から、依頼範囲を検討できます。

トミラ リスティング広告運用代行コンサルティング

トミラ リスティング広告運用代行コンサルティング

トミラは、リスティング広告の運用に特化したサービスを提供しています。専門のチームがクリエイティブの制作から広告運用、分析までを一貫して行い、クライアントに最適な広告運用を実施します。また、リスティング広告の特性を活かしたアプローチが可能で、豊富な運用経験から得た独自のノウハウを活用します。
リスティング広告に特化したプロが運用
リスティング広告のことを熟知したプロフェッショナルによる運用なので、安心してお任せすることができます。最新のトレンドを反映した広告運用が可能なので、成果を大きく伸ばすことが期待できます。
コンサルティングから運用まで依頼可能
リスティング広告のアドバイスを受けたい方に向けたコンサルティングプランから、ガッツリと運用を任せたい方に向けた運用プランまで用意しているので、柔軟に対応ができます。
成果重視のテキスト作成
広告運用だけでなくクリエイティブ制作も対応可能です。経験豊富な専門チームが成果重視のテキスト広告やランディングページを制作します。ただかっこいい、おしゃれな広告ではなく、売れる広告を作成します。

項目内容

サービス名

トミラ リスティング広告運用代行コンサルティング

会社名

株式会社トミラ / Tomira.Inc

住所

東京都港区北青山2丁目12-8 BIZ SMART235

事業内容

・AI事業
・マーケティング事業
・セキュリティ事業

費用対効果を見て配信と遷移先を改善する

結果が悪い箇所に応じて見直す行動を選ぶ

運用を始めた後は、想定した数字と観測した数字を並べ、費用が増えた理由と成果が足りない箇所を分けて確認します。媒体CPAが上がったときも、クリック単価の上昇なのか、問い合わせ率の低下なのかで見直す対象が変わります。

症状別に確認する箇所

症状確認する内容次の判断
クリックが少ない表示機会、狙う検索語句、対象範囲、配信状況。関連性を保って配信範囲を広げられるか検討する。
クリックはあるが問い合わせが少ない検索意図と遷移先の説明、フォームへの導線、計測。欠測を切り分け、説明や導線を改善する。
問い合わせはあるが成約が少ない対象顧客との適合、営業記録、商談中の件数。獲得する相手と成約までの対応を照合する。
予算が余る・不足する獲得状況、月末見込み、成約後の採算。優先して配信する対象と予算配分を見直す。

クリック後に問い合わせが少ない場合、訪問者が求めた答えをページで見つけられるか確認します。たとえば対応地域を重視して検索している人に、地域の説明が分かりにくいページを見せると、依頼できるか判断しにくくなります。料金や対応範囲、問い合わせ後の流れなど、検討に必要な情報を探しやすくしましょう。

フォームへ進んでも完了しにくい場合は、入力項目の分かりやすさやスマートフォンでの操作を確認します。ただし、問い合わせが実際に届いているのに管理上のCVが少ない場合は、先に計測の欠測を調べます。数字の取り方に問題があるままでは、ページを変えた効果も判断できません。

問い合わせ後に成約が少ない場合は、商談の結果を広告側へ戻します。対象外の相談が多いのか、提供条件が合わないのか、成約まで時間がかかっているのかを整理します。予算計算で見たとおり、同じ媒体CPAでも成約率が違えば採算が変わるため、問い合わせ件数だけを理由に増額するのは避けましょう。

改善の優先度と判断の順序

優先度確認・実施すること
高:比較できる数字にそろえる集計期間、CVの定義、媒体費と総支出の範囲、計測の欠測を確認する。
高:支障がある箇所を特定するクリック、問い合わせ、成約のどこで想定と差が出たかを確認する。
中:変更案を比べる追加制作費と社内工数を含め、改善の目的と変更対象を決める。
中:結果を再評価する変更日と条件を残し、成約までの時間差を踏まえて再比較する。

変更の際は、目的、変える条件、追加費用、結果を確かめる時点をそろえます。複数の条件を一度に変えると、どの変更が影響したか分かりにくくなります。比較する期間で商材や営業条件が変わっていないかも確認し、費用だけの増減に結論を急がないことが大切です。

予算が余った場合も、使い切ることを目的に配信を広げる必要はありません。目標へ近づいているなら支出を抑えて継続し、目標未達なら表示機会や対象範囲、遷移先の課題を確認します。予算が足りない場合は、採算が合う対象を優先するか、許容できる総支出の範囲で増額を検討します。

増額・継続・停止は、成約後の採算と許容できる支出で決めます。増額するときは問い合わせへの対応余力も確認し、停止するときは計測の不具合や未確定の商談を分けて判断しましょう。一律の日数で結論を出すより、何を確認できたら判断するかを先に決めると、予算管理に一貫性を持たせられます。

リスティング広告の費用は、媒体予算だけを決めて終わりではありません。目標件数から必要な配信量を計算し、制作・支援費を含め、問い合わせから成約まで追って見直すことが、継続できる運用につながります。