CRMの費用は、ツールの利用料に、導入時の設定・データ移行・連携、教育、継続運用の負担を加えて考えます。予算を決めるときは、外部への支払額と社内の作業時間を分け、同じ人数・機能・期間で比べることが大切です。

たとえば、kintoneのスタンダードを10人で12か月利用する場合、利用料は年間216,000円(税抜)です。ここへ自社に必要な移行や研修の作業を積み上げると、導入から運用までの予算を整理できます。本記事では、費用の内訳、見積もりのそろえ方、導入後の効果の見方を具体例とともに解説します。

CRMの費用は利用料だけでなく導入と定着まで含める

導入準備、継続利用、教育・管理を含めてCRMの費用を考える図

CRMは顧客情報や対応履歴を共有し、顧客との関係を管理するための仕組みです。導入では、アカウントを用意するだけでなく、どの情報を集め、誰が更新し、日々の業務でどう使うかを決めます。その準備と継続作業まで予算に含めると、利用開始後に必要な負担を見通せます。

まず、費用を「導入時」「継続利用」「教育・社内運用」に分けましょう。製品の初期費用に含まれる範囲と、設定や移行を依頼する費用は見積もりで照合します。自社で作業する場合も、担当者が確保する時間を予定に入れます。

CRMの費用区分と予算に含める作業
費用区分含める作業
導入時の支払い初期設定、データ整備・移行、必要な連携や開発
継続利用の支払い利用料、追加機能、容量、保守・運用支援
教育に関する支払い利用者・管理者向け研修、資料整備など依頼する作業
社内の作業負担要件整理、データ確認、研修参加、入力・管理の時間

利用料の具体例から年間予算を組み立てる

料金の単位と最低利用人数を確認する具体例として、kintoneの共通情報を示します。

kintone

kintoneはサイボウズが提供する、顧客・案件管理などの業務に活用できる業務アプリのサービスです。

kintoneは、利用規模や目的に応じてライト・スタンダード・ワイドのコースを選択できます。

月額利用料は1ユーザーあたりライト1,000円、スタンダード1,800円、ワイド3,000円で、いずれも税抜です。最低ユーザー数はライトとスタンダードが10人、ワイドが1,000人です。初期費用は無料で、1か月から契約できます。

単月契約の月額サービスと単年契約の年額サービスがあり、年額料金は1ユーザーあたりライト12,000円、スタンダード21,600円、ワイド36,000円(税抜)です。オプション等の費用は別途確認が必要です。

項目内容

サービス名

kintone

会社名

サイボウズ

料金プラン

ライト:月額1,000円/人、スタンダード:月額1,800円/人(最低各10人)。ワイド:月額3,000円/人(最低1,000人)。いずれも税抜。

たとえば、上記のスタンダードを10人で使う場合、月額利用料は1,800円×10人=18,000円、12か月では216,000円(税抜)です。これは10人分の利用料の計算です。導入予算には、必要なデータ整理・設定・研修などの支払いを加え、社内作業は時間数と換算額を別に記録します。

初年度は導入準備がまとまって発生し、翌年度以降は利用料や管理業務が中心になります。ただし、利用部門の追加やシステム連携の変更があれば、その年度にも設定・教育が必要です。初年度の合計と継続年度の合計を分けると、単発の作業費を毎年の固定費と混同せずに済みます。

クラウドとオンプレミスでは予算に含める対象が異なる

クラウド型は提供事業者の環境を利用し、オンプレミス型は自社側の環境に構築して運用します。比較では利用料に加え、設備や保守、更新の担当と費用をそろえます。

提供方式ごとに見積もる対象
方式予算に含める対象
クラウド型サービス利用料、初期設定・移行、追加機能、連携、社内管理
オンプレミス型ライセンス、サーバー等の設備、構築、保守、更新、社内運用

方式は、既存システムとの接続、情報管理の要件、社内の運用体制から選びます。利用料の表示だけで判断せず、必要な業務を続けられる状態まで含めた予算で検討しましょう。

利用人数・機能・データ量で継続料金が変わる

利用人数、必要機能、契約条件を見積もりへ反映する図

継続料金を左右するのは、利用人数だけではありません。必要な機能を使えるプラン、保存するデータ、外部連携、サポート、契約期間も確認します。同じ「月額」という表示でも、1人あたりか、契約全体か、年契約の月額換算かによって計算が変わります。

人数は社員数ではなく利用する役割から決める

顧客情報を更新する営業担当、問い合わせ履歴を記録する担当、状況を閲覧する管理者など、役割ごとに利用者を整理します。閲覧だけの利用者に別のライセンスがあるかは製品ごとに確認し、必要な権限に合う契約数を見積もります。少人数で始める場合は、最低契約人数も先に照合してください。

たとえば利用者を10人から20人へ増やす計画なら、増員後の利用料だけでなく、権限の設定、追加研修、問い合わせ対応に必要な作業も確認します。利用開始の時期が部署で異なるなら、いつから何人分を契約するかを月別に整理すると、予算と展開計画がつながります。

継続料金を見積もる確認項目
確認項目予算への反映
利用人数・最低契約数役割別の必要数と最低契約数を照合し、課金対象数を決める
機能・プラン必須機能を使えるプランと追加契約を含める
データ・連携容量や利用量の上限、追加契約が必要になる条件を確認する
サポート標準の対応範囲と追加支援の費用を分ける
契約・支払周期契約期間、年額・月額、更新後の条件と支払時期をそろえる

機能の優先順位と増額の条件をそろえる

「顧客情報を共有したい」という要望は、対応履歴の検索、担当者の引継ぎ、集計など、実際の業務へ分解します。そのうえで、開始時に必要な機能と、定着後に検討する機能を区別しましょう。必須機能が上位プランや追加契約の対象なら、その条件を含めて比較します。

数名のチームでは最低契約数、数十人では利用人数に応じた年間費用、複数部門では権限設計や連携・管理の負担を重点的に確認します。無料プランや試用環境を使う場合も、利用人数、保存件数、期間、必要な機能、本運用への引継ぎ条件を確認します。試せる範囲と、業務を継続するために契約する範囲をそろえて判断することが大切です。

移行・連携・教育の費用と作業範囲を確認する

台帳の整理から連携の確認、運用の引継ぎへ進む図

導入作業の見積もりは、「移行一式」「連携一式」という名称だけで比較せず、対象と完了条件を具体化します。同じ台帳の移行でも、取込み用ファイルを作るところまでか、重複の整理や取込み後の照合まで含むかで、担当者の負担は変わります。

データ移行は取込み前のルールと取込み後の照合まで決める

まず、営業台帳、問い合わせ台帳、名刺情報など、顧客データの所在を洗い出します。移す項目と対象期間を決め、項目名や日付の形式をそろえ、試験取込みを行ってから件数・内容を照合します。旧データをどこに残すか、切替中の更新をどう反映するかも決めておきましょう。

たとえば、営業台帳の「株式会社青葉」と問い合わせ台帳の「青葉(株)」が同じ顧客を指す場合、会社名の表記だけで機械的に統合すると、同名企業や支店の違いを取り違える可能性があります。会社識別用の項目や住所など、照合に使う情報と判断担当者を決め、判断が必要なデータを分けて確認します。委託先が整形作業を担う場合も、自社の顧客区分や統合判断は社内で確認する必要があります。

連携と教育は稼働後の担当まで含める

連携では、接続するシステム名だけでなく、どの項目をどちらへ、どの頻度で反映するかを明確にします。更新が競合した場合の扱い、連携エラーの通知先、再処理の担当も決めましょう。接続テストの完了と、日々の運用を続けられることは分けて確認します。

導入作業の分担と確認事項
作業社内と委託先で決めること
データ整理・移行対象データ、整形担当、統合判断者、取込み後の照合方法
権限・運用設計閲覧・更新範囲、承認担当、入力ルール、管理者
システム連携同期する項目・方向・頻度、テスト範囲、エラー時の担当
研修・引継ぎ対象者、扱う業務、資料、実施範囲、稼働後の質問窓口

教育は、利用者向けの入力・検索と、管理者向けの権限変更・項目変更を分けると整理できます。研修回数や資料の納品だけでなく、実際の業務で操作できるか、新しい担当者へ引き継げるかを確認します。研修後の質問窓口や異動時の教育も、運用計画へ含めてください。

誰が何を準備し、何をもって完了とするかを見積もりに対応させると、委託費用と社内工数の二重計上や作業漏れを防ぎやすくなります。相談前には、利用予定人数、データの保存先と件数、連携したいシステム、社内担当者をまとめておきましょう。

同じ条件の見積もりで必要な総額を比べる

共通条件で見積もりをそろえ、追加費用と終了条件を確認する図

総額比較の出発点は、各社へ同じ要件を伝えることです。対象部署、人数、必要機能、期間、移行対象、研修範囲をそろえた見積依頼書を用意します。条件が違う見積もりを受け取ったら、価格差を評価する前に、含まれる作業と自社が担う作業を照合してください。

見積依頼の記入例を用意する

たとえば、営業10人が12か月、顧客情報と対応履歴を共有する場合は、次のように条件を整理できます。移行件数や連携先は、実際の台帳と業務を調べて記入します。

見積依頼の条件をそろえる記入例
項目記入例・記入する内容
対象・人数・期間営業10人/12か月
目的と必要機能顧客情報・対応履歴の共有、検索、担当者の引継ぎ
移行対象既存台帳の名称、件数、項目、履歴・添付の範囲を記入
連携対象システム、同期する情報、更新頻度を記入
教育・完了条件利用者研修を含め、実務で入力・検索できることを確認

回答は、標準機能で対応できるもの、追加機能や作業が必要なもの、自社で準備するものに分けてもらいます。見積書と回答内容を一緒に残すと、契約後も依頼範囲を確認できます。必要条件が満たされていることを確かめてから、次の比較表へ金額を記入しましょう。

初年度の支払額と社内工数を分けて比較する

同条件で比較する外部支払額の記入欄
費用項目見積A見積B
初期作業対象作業・金額を記入対象作業・金額を記入
12か月の利用料人数・プラン・金額を記入人数・プラン・金額を記入
追加機能・連携契約単位・期間・金額を記入契約単位・期間・金額を記入
継続支援対応範囲・期間・金額を記入対応範囲・期間・金額を記入
初年度の支払合計税区分をそろえて集計税区分をそろえて集計
翌年度以降の支払額継続費・予定変更を集計継続費・予定変更を集計

初年度の外部支払額は、初期作業費と、利用期間分の利用料・追加機能・継続支援費を合計します。翌年度以降は、継続する費用と、その年度に予定する変更作業を積み上げます。年払いと月払いは年間額へそろえて比較し、資金計画では実際の支払月も確認してください。

社内工数には、打合せ、データ確認、研修への参加、日常管理を含めます。外部への支払額と同じ表で混ぜず、次のように別に集計すると、現金の予算と担当者の確保をそれぞれ判断できます。

社内工数を別に記録する表
作業区分記録する内容
導入準備担当者、要件整理・データ確認・研修参加の時間
継続運用担当者、入力・データ修正・管理の月間時間
換算額対象時間×社内で定めた時間単価。支払額とは別に集計

更新・縮小・終了の条件まで確認する

契約更新の期限、利用人数やプランを変更できる時期、解約の通知期限と支払いの扱いを確認します。データ出力は、顧客情報だけでなく、対応履歴、添付ファイル、項目の関連付けまで取り出せるか、必要な形式で受け取れるかを確かめてください。出力の依頼や次の環境へ移す作業の費用も確認対象です。

見積もりに記載がない項目は、質問をまとめて回答を得ます。金額と作業範囲が対応している見積もりにそろえることで、安い理由を推測することなく、自社に必要な総額を判断できます。

削減できる工数と売上への貢献を分けて評価する

同じ業務・期間・件数で導入前後を比較し、空いた時間の活用と実支出の削減を分け、売上は別に評価する図

CRMの費用対効果は、作業時間、実際の支払い、顧客対応、受注や継続などに分けて評価します。導入前に対象業務と測定方法を決め、導入後も同じ条件で記録すると、改善した点と追加負担を把握できます。

時間短縮は増えた作業も含めて評価する

たとえば、顧客情報の確認が1件5分から3分になり、月300件を処理する場合、短縮時間は2分×300件=600分、月10時間です。時間単価を3,000円と置くと、月30,000円相当の余力として表せます。これは作業時間の価値を換算した計算例です。

一方、CRMへの記録やデータ管理の時間が増えれば、その分を差し引いて考えます。たとえば同じ月に追加の入力・管理が4時間必要になった場合、全体の短縮は6時間となり、同じ単価で18,000円相当です。検索だけが速くなった結果と、業務全体で確保できた余力を分けると、運用を見直す場所が分かります。

固定給与が同額なら、時間換算した金額だけでは会社から出ていくお金は減りません。空いた時間を追客や顧客対応に回せたかを確認しましょう。外注費や残業代などの支払いが実際に減った場合は、その削減額を別に記録します。時間の余力と実支出の削減を分けることが、効果を過大に見積もらないための判断軸です。

費用対効果を分けて記録する指標
評価対象記録する指標
作業時間同じ業務・期間・件数に対する総作業時間
実支出外注費・残業代などの実際の支払額と削減理由
対応速度・追客初回対応までの時間、対応期限内の実施状況
受注・継続同じ定義で数えた商談・受注・更新と、営業条件の変化

売上への貢献は対応の変化と合わせて見る

売上や受注率の変化には、広告、営業体制、価格、季節性なども関係します。CRMの利用開始だけを理由に成果を結び付けず、問い合わせから初回対応までの時間、期限内の追客、引継ぎ漏れなど、改善したい業務の指標と合わせて見ましょう。

比較期間や対象顧客の範囲、商談件数の数え方をそろえ、活動が増えた分の工数も記録します。集計のために新しい資料を大量に作るより、CRMや既存の業務記録から継続して確認できる指標を選ぶと、測定自体の負担を抑えられます。費用と効果は同じ期間で並べ、想定との差があれば、入力方法・運用範囲・契約機能のどこを見直すかを決めてください。

必要な範囲から試し定着を確認して拡張する

小さく試し、定着を確かめてから必要な範囲へ広げる図

費用を抑えながら導入を進めるには、解決したい業務に必要な範囲を決め、試行から定着、拡張へ進みます。対象を絞る場合も、顧客対応に必要な情報や引継ぎが途切れないかを確認し、業務の一連の流れを試せる範囲を選びましょう。

問い合わせ履歴の共有から試す場合

たとえば、問い合わせ対応の引継ぎ漏れを減らしたい場合は、担当部署で顧客名、問い合わせ内容、担当者、対応状況、次の対応期限を共有する運用から始められます。誰がいつ入力し、重複や誤りを誰が直すかを決め、管理者と代替担当者を置きます。

試行では、履歴を探す時間、入力漏れ、二重入力、管理者への質問を確認します。入力が続かないときは、項目が多すぎるのか、入力のタイミングが業務に合わないのかを調べ、ルールや教育を見直します。必要な情報が蓄積され、担当者が利用できることを確かめてから、対象部署や連携を広げると、追加費用の目的が明確になります。

試行後の継続・見直し・拡張を判断する表
確認項目継続・見直しの判断
入力の定着必要な履歴が残るか。漏れがあれば項目とタイミングを見直す
データ品質重複・誤りが業務に影響していないか。修正担当を決める
管理負担質問・設定変更の時間を確認し、資料や担当体制を整える
目的と費用課題の改善と継続負担を照合し、拡張する範囲を決める

自社に残す判断と外部へ相談する作業を整理する

外部支援を検討する際は、製品選定、導入設定、データ統合、継続運用のうち、どの作業に支援が必要かを整理します。顧客情報の扱い、業務ルール、権限付与の承認、成果の評価は、社内の責任者が判断できる体制を用意しましょう。導入時の作業と、稼働後に繰り返す作業を分けると、契約する支援範囲を決めやすくなります。

選定の条件がまとまらない場合は、利用予定人数、既存データの所在、必要な機能や連携、社内担当者の状況を用意して相談します。必要な作業と担当範囲を整理してから費用を比較することで、自社で進める部分と支援を受ける部分を具体的に検討できます。

CRMの選定・導入やデータ統合の支援を検討している方は、以下のトミラの支援内容をご確認ください。相談時には、現在の台帳や運用上の課題も伝えると、必要な範囲を整理しやすくなります。

トミラ CRM構築・導入支援・運用代行

トミラ CRM構築・導入支援・運用代行

株式会社トミラが提供するCRMの導入・構築・運用支援サービスです。顧客管理やマーケティングオートメーションに精通したプロフェッショナルの再現性のあるサポート・施策で、顧客管理の最適化による顧客満足度やLTVの向上、コスト削減が見込めます。
コンサルティング支援から、データ統合支援、導入・運用支援、メッセージクリエイティブの制作、流入経路分析、1st Party Data活用広告支援など、多岐にわたってサービスを展開しています。
また、HubSpotをはじめとして、SalesforceやZohoなど、使用ツールに指定はなく、選定の段階から客観的な視点から提案することが可能です。
さらに、一般的なCRMの運用だけでなく、LINE公式やInstagramのダイレクトメッセージでのCRM、MAの支援も可能で、クライアントに合わせた最適なプランで、充実な顧客サポートを提供することが可能です。

項目内容

サービス名

トミラ CRM構築・導入支援・運用代行

会社名

株式会社トミラ / Tomira.Inc

住所

東京都港区北青山2丁目12-8 BIZ SMART235

事業内容

・AI事業
・マーケティング事業
・セキュリティ事業