表示速度はSEOと利用体験に関わる要素です。ただし、速くするだけで検索順位や問い合わせ件数が上がるとは限りません。まずはどのページの、どの体験が遅いのかを計測し、原因を確かめて改善することが大切です。
「PageSpeed Insightsの点数が低い」「画像を圧縮したのに改善しない」と悩む法人の担当者に向けて、データの読み方、原因別の対策、開発・運用担当への渡し方を説明します。改善票の記入例も使い、調査から修正後の確認までつなげます。
表示速度とSEO・利用体験の関係を理解する

Googleは、ページの読み込み性能、操作への反応、表示の安定性を測るCore Web Vitalsを、良好なページ体験のために重視しています。表示性能の改善は、検索から訪れた人が必要な情報を読み、次の行動へ進める環境を整える取り組みです。
一方、SEOでは読者の疑問に答える内容や情報の確かさなども考える必要があります。速度だけに予算を集中させても、サービス内容がわからなかったり、検索した目的と説明がずれていたりすれば、読者の課題は解決しません。速度改善とコンテンツ改善を並行して判断することが基本です。
読み込み完了までの時間だけで判断しない
表示速度という言葉には、異なる体験が含まれます。ページ全体の読み込みが終わるまでの時間と、主要な内容が見えるまでの時間は同じではありません。また、文章が見えていても、メニューやボタンがすぐに反応するとは限りません。
たとえば、サービス紹介文は読めるのに資料請求ボタンを押しても変化がない場合、画像の容量だけを調べても解決に近づかない可能性があります。クリックした後の処理や画面の更新を確認する必要があります。逆に、ボタンは反応しても、読み込み中に位置が動けば誤操作につながります。
Core Web Vitalsで体験を分けて見る
LCPは、画面内の大きな画像やテキストなど、主要なコンテンツが表示されるまでの時間を測ります。INPは、クリックやタップなどの操作に対して、次の描画による視覚的な反応が現れるまでの応答性を測ります。CLSは、予期しないレイアウトのずれを表す指標で、秒数ではありません。
この違いがわかると、「サイトが重い」という相談を、「主要画像の表示が遅い」「操作後の反応が遅い」「表示中にボタンが動く」に分けられます。担当者へ伝える内容が具体的になり、必要な調査を選びやすくなります。各指標の位置付けはGoogleのCore Web Vitalsの説明でも確認できます。
SEO全体の施策を整理すると、表示速度の改善と、情報の充実や内部構造の改善を併せて検討しやすくなります。
実ユーザーデータとテスト環境の計測を使い分ける

表示性能のデータは、実際の利用者から集めるフィールドデータと、条件を設定して検証するラボデータに分かれます。前者は現実の利用体験を把握するため、後者は問題の再現や原因調査のために使います。利用者の評価と、原因を探すテストを組み合わせると判断しやすくなります。
PageSpeed Insightsは両方のデータを表示するため、「PageSpeed Insightsだからラボ」とツール名だけで分類しないでください。結果を見るときは、実ユーザーの観測なのか、今回実行したテストなのかを先に確認します。
ツールごとの役割を整理する
Search Consoleの「ウェブに関する主な指標」は、問題のあるURL群を把握する入口になります。その中から代表的なページを選び、PageSpeed Insightsで実測と診断を確認し、必要に応じて開発担当が開発者ツールで通信や処理を詳しく調べる流れが考えられます。
| データ・ツール | 対象と使い道 |
|---|---|
| 実ユーザーデータ(PSI) | 過去の利用者の体験。個別URLかオリジン全体かを確認する。 |
| Search Console | 問題があるURL群と指標を把握し、調査する代表ページを選ぶ。 |
| ラボデータ(PSI・Lighthouse) | 設定した条件で対象URLをテストし、原因候補と修正前後の変化を調べる。 |
| 開発者ツール | 通信や処理を詳しく調べ、原因仮説を検証する。 |
期間と集計対象を確認する
PageSpeed Insightsの実ユーザーデータは、CrUXに基づく過去28日間の観測です。代表値には75パーセンタイル値が使われます。これは、観測値を小さい順に並べたとき、全体の75%がその値以下に収まる位置を示します。平均値とは異なります。
個別URLのデータが足りない場合、同じオリジン全体のデータへ切り替わることがあります。オリジンは、通信方式・ホスト名・ポートの組み合わせを単位とする範囲です。ページ単体の結果だと思い込まず、表示されている対象範囲を確認しましょう。オリジン側も不足していれば、実ユーザーデータが出ないことがあります。
データがない状態は、速いことも遅いことも意味しません。公開直後やサンプル不足の場合は、ラボ診断と実際の操作確認で調査を進め、実測の有無を後日確認します。
点数と実測の良好判定を分ける
ラボのパフォーマンススコアは90点以上が良好の目安ですが、実ユーザーのCore Web Vitalsの評価や検索順位を保証する点数ではありません。スコアが高くても、実際の端末や通信条件で不便がないかを確認します。
実測とラボで結果が違うときは、期間、モバイルとPC、個別URLとオリジン、テスト環境の違いを確かめます。異なる利用者群の過去データと、ある条件での一度のテストが一致しないこと自体は不自然ではありません。仕様の詳細はPageSpeed Insightsの公式説明で確認できます。
遅いページと読み込み・応答・表示の問題を切り分ける

調査対象はトップページだけにせず、サービス詳細、記事、問い合わせへ進むページなど、目的やテンプレートが異なるページから選びます。共通の見た目でも、使っている画像や埋め込み、処理が異なる場合があるためです。
最初は、問い合わせ前に必ず通るページや、Search Consoleで問題が出ているURL群の代表ページを調べると、事業上の重要性と性能の問題を結び付けやすくなります。PCで問題が再現しない場合も、モバイルの結果を分けて確認しましょう。
良好の目安と症状を照合する
次の数値は実ユーザーデータを見る際の良好の目安です。ページ全体の読み込み完了時間や、売上が伸びる境界を示すものではありません。対象範囲と端末区分を確認し、75パーセンタイル値と照合します。
| 指標 | 測る体験 | 良好の目安 |
|---|---|---|
| LCP | 主要コンテンツの表示 | 2.5秒以下 |
| INP | 操作への応答 | 200ミリ秒以下 |
| CLS | 予期しない位置ずれ | 0.1以下(時間ではない) |
通常は各指標のデータがそろった状態で、すべてが良好かを確認します。PageSpeed InsightsではINPのみ不足する場合などに評価上の例外があります。数値が欠けているときは自己判断で合格扱いせず、ツールの評価表示とデータ不足の説明を確認してください。
TTFBは、要求してから最初のデータを受け取るまでの待ち時間を調べる補助指標です。Core Web Vitalsの3指標とは別で、値だけからサーバーの性能不足を断定することはできません。症状から原因候補を出し、通信や処理の記録で確かめます。
| 症状 | 原因候補 | 次の確認 |
|---|---|---|
| 主要画像が遅れる | 画像の容量・取得開始・配信待ち | どの画像が対象か、取得と表示のどこに時間がかかるか |
| クリック後の反応が遅れる | JavaScriptなどの処理負荷 | 問題の操作を再現し、処理の記録を確認 |
| 文章やボタンが動く | 画像等の領域不足・後から入る要素・フォント切替 | どの要素が、いつ動くか |
| 最初の応答を待つ | サーバー処理・通信経路・リダイレクト | TTFBや通信の内訳、発生条件 |
改善の順番は支障と影響範囲で決める
優先度は、利用への支障、重要な導線への影響、同じ問題があるURLの範囲、原因の確からしさ、修正工数とリスクで判断します。原因が確認でき、利用への支障が大きい改善から着手するのが実務上の目安です。
たとえば、資料請求へ進むボタンが操作できない問題は、数値の小さな差より先に確認したい課題です。一方、共通テンプレートの主要画像が多くのページで遅れるなら、共通部分の修正を優先する理由になります。原因が不明なまま大規模な変更を決めず、必要な追加調査を先に行います。
同じ「遅い」でも、画像の転送、コードの実行、配信待ちでは担当や対策が変わります。次の改善候補は固定の実施順ではなく、調査結果に合わせて選んでください。
画像・動画・コード・フォントの改善候補を整理する

ブラウザが受け取るデータ量と、受け取った後の処理を分けて考えます。容量が小さくても処理が長い場合がありますし、表示に必要なデータの取得開始が遅れている場合もあります。軽量化の前に、何が待ち時間を作っているかを確認しましょう。
画像と動画は用途に合う読み込み方を選ぶ
画像は表示寸法に対して過大なサイズになっていないかを調べ、形式と圧縮率を比較します。WebPなどへの変更は候補になりますが、形式を変えるだけで必ず容量が減るとは限りません。商品写真の細部や図中文字が読める品質を残し、実際の容量と表示を比べます。
画面外の画像は遅延読み込みの候補ですが、最初に見せたい主要画像まで一律に遅らせると、その表示を待たせる可能性があります。最初に必要な内容と、後から必要になる内容を分けることが大切です。
説明動画や外部埋め込みも、初期表示時の負荷と、閲覧者が使うタイミングを照合します。たとえば、クリック後に動画を読み込む方式を検討する場合、ページを開いた直後だけでなく、クリックから再生までの待ち時間も確認します。再生が主目的のページで、必要な動画を見つけにくくしないようにしましょう。
コードとフォントは表示・操作への影響を調べる
JavaScriptやCSSでは、不要な読み込み、表示を妨げる処理、実行負荷などを開発担当が調べます。空白を減らす圧縮と、使っていない機能の削除は異なる作業です。診断で未使用と見えても、メニューを開いた後や別の画面幅で必要になることがあるため、用途を確認してから変更します。
計測タグやプラグインは、管理者、利用目的、他の機能との依存関係を整理します。点数を上げるために削除し、問い合わせの計測や同意管理が動かなくなると、成果の評価やサイト運用に支障が出ます。新しい高速化プラグインを追加する場合も、既存機能との重複と追加負荷を検証します。
フォントでは種類や太さの数、取得中の文字表示を確認します。代替フォントから切り替わる際の改行や位置ずれも点検対象です。読み込みを優先する対象や具体的な設定は、他の画像・コードとの関係を開発担当が確認して決めます。
改善候補を選ぶ条件と確認事項
| 改善候補 | 着手を勧める条件 | 変更後の確認 |
|---|---|---|
| 画像の寸法・形式・圧縮 | 表示に比べて過大で、転送負荷が確認できる | 容量、細部、図中文字の可読性 |
| 画面外の画像・動画の読み込み | 初期表示に不要な取得が負荷になっている | スクロール後の表示と再生待ち |
| JavaScript・CSSの整理 | 不要な取得や処理、表示を妨げる要因がある | メニュー、フォーム、計測、画面幅ごとの表示 |
| フォントの整理 | 種類や太さ、文字表示の待ちが課題になっている | 読みやすさ、改行、切替時の位置ずれ |
サーバー・キャッシュ・配信の改善を担当へつなぐ

最初の応答やファイルの配信に時間がかかる場合は、サーバーの処理、キャッシュ、テキスト圧縮、CDN、リダイレクトなどを確認します。CDNは、分散した配信拠点などを使ってコンテンツを届ける仕組みです。導入や契約の変更を先に決めず、現在の配信構成と待ち時間の記録を照合します。
サーバー側の処理が原因なのか、通信経路や転送量の問題なのかによって、対応は変わります。不要な転送先への経由があればリンクやリダイレクトを見直し、テキストの圧縮状況に問題があれば配信設定を確認するなど、原因に合う対応を選びます。
キャッシュは再利用と更新反映を両立させる
ブラウザキャッシュは、端末に保存した画像やコードなどを再利用する仕組みです。配信側のキャッシュは、利用者の端末より手前にある配信拠点などでデータを再利用します。保存される場所が違うため、初回表示と再訪時を分けて確認します。
保存期間を長くすればよいわけではありません。更新後も古い内容が出ないか、変更した画像やコードが反映されるかを確認します。ログイン状態や個人別の情報を含むページは、共通に再利用してよいデータかを開発・運用担当が判断する必要があります。
担当ごとの役割を決める
マーケティング担当がすべての技術設定を決める必要はありません。観測した事実と、確かめたい仮説を分けて渡すと、担当者が調査範囲を判断しやすくなります。
| 担当 | 主な役割と受渡し |
|---|---|
| マーケティング担当 | 対象URL、利用上の支障、重要な導線、優先する理由を整理する。 |
| 制作担当 | 画像・動画等の素材を調整し、必要な品質を確認する。 |
| 開発・運用担当 | 原因を検証し、コード・サーバー・配信設定の変更と影響確認を行う。 |
改善票で調査から再確認までつなぐ
改善票には、対象URLとページ型、日時、端末・通信・キャッシュなどの条件、データの種類と対象範囲を残します。そのうえで、症状、原因仮説、優先度と理由、担当、修正内容、再確認結果を記録します。URLは調査した実際の値を記入し、オリジン全体の評価を個別ページの測定値として転記しないようにします。
たとえば、サービス詳細の主要画像が遅れる場合は、次のように事実と未確認事項を分けて記入できます。数値は実際の計測結果を入れ、まだ測っていない欄は空欄や未確認のまま担当へ渡します。
| 改善票の項目 | サービス詳細ページを調べる場合の記入例 |
|---|---|
| 対象と観測条件 | 対象URL・ページ型・観測日時・端末・通信・キャッシュ条件を記入する。 |
| データの種類と範囲 | PSIのラボ診断と実測を分け、実測はURLかオリジンかを記入する。 |
| 観測した症状 | たとえば「見出しの後に主要画像が遅れて現れる」と、見た状態を書く。 |
| 原因仮説 | 「画像の容量や取得開始を調査」と記入し、原因確定とは分ける。 |
| 優先度と理由 | 重要なサービス説明に関わり、同じ問題が複数ページにあるなら優先候補とする。 |
| 担当と修正内容 | 制作・開発の担当を決め、調査後に実施する変更を追記する。 |
| 再確認結果 | 同条件での再計測、画質・操作の確認、後日の実測確認予定を記録する。 |
この記録があると、外部支援へ相談する際も、調査だけを依頼したいのか、改善方針の整理から技術実装まで必要なのかを具体的に話せます。SEO全体の優先順位を相談しつつ、サーバーやコードの変更を誰が担当するかを分けて確認しましょう。
トミラへの相談を検討する場合も、対象URL、困っている操作、保存した計測結果をまとめておくと、課題と依頼範囲を共有しやすくなります。個別の速度改善の実装可否や担当範囲は、SEO運用代行の問い合わせ窓口で確認してください。
修正前後を同条件で確認して影響を見直す

変更後は、同じURL、同じ端末区分、同じツールと通信条件で再計測します。キャッシュを使うかどうかもそろえ、複数回の結果と実施日時を記録します。条件が違う測定値を、そのまま改善効果として比較しないことが大切です。
たとえば、変更前がモバイルで変更後がPC、変更前が初回で変更後がキャッシュ利用という比較では、修正による変化を判断しにくくなります。再現できる条件を改善票へ残し、担当者が同じ条件で追試できる状態にします。
数値と一緒に表示・操作の副作用を見る
画像の容量が減っていても、必要な図中文字が読めなくなっていれば修正が必要です。コードを整理した場合は、ページを開いた直後に加えて、メニューを開く、フォームへ入力する、動画を再生するなど、変更の影響を受ける操作を確認します。
| 確認対象 | 修正後に確かめること |
|---|---|
| 画像・文字 | PCとスマホで細部や図中文字が読め、表示位置が不自然に動かない。 |
| メニュー・フォーム | 開閉、入力、エラー表示、完了までの動作を管理された検証環境で確認する。 |
| 動画・埋め込み | 表示位置と再生開始、スクロール後の動作に支障がない。 |
| 計測 | 必要なイベントが受信され、重複や欠落がない。 |
| 共通部品・更新 | 別ページでも崩れず、更新した素材とコードが反映される。 |
共通テンプレートを直した場合は、最初の代表URLだけで終えず、同じ部品を使う別ページも確認します。画像が長いページ、フォームがあるページなど、使われ方が異なる例を含めると、特定の条件でだけ起きる不具合を見つけやすくなります。
修正直後の検証と実ユーザーデータの追跡を分ける
ラボでは修正後の状態をすぐに再検証できます。一方、実ユーザーデータには過去28日間の観測が含まれるため、修正前の状態も残ります。直後は再現テスト、後日は実測の推移を確認するという時間差を前提にしましょう。
修正日時と観測期間を照合し、十分なデータがない場合は良好とも失敗とも決め付けません。ラボで改善しても実測に課題が残る場合は、実際の利用者の端末、ページ内の操作、集計範囲などを見直して追加調査につなげます。
自然検索流入と問い合わせは別に追う
性能指標が良くなったか、自然検索からの流入が変わったか、問い合わせや資料請求につながったかは、分けて評価します。検索順位やCVRには、記事の変更、流入する人の構成、季節性、他の施策も関係します。変更履歴を併記し、速度改善だけの成果と断定しないようにします。
問い合わせのデータが取れていない場合は、件数をゼロと置かず、計測状態を確認します。表示と操作を保ちながら性能を改善し、その先の成果を継続して追うことが、点数だけを追う運用から抜け出すための基本です。
調査と改善の優先順位を社内だけで整理しにくい場合は、改善票をもとに支援範囲を確認しましょう。トミラのSEO支援を検討する際は、以下のサービス情報と資料請求から内容を確認できます。速度改善の個別対応や料金・契約条件は、公式窓口で確認してください。
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